2024年5月15日水曜日

どうしても納得できない歌詞?

          


 以前にこちらのブログで、米津玄師さんの歌について何度か考えを述べました。

【ツインレイを知るための創作作品④-後編】謎の頭痛と松果体〔体験談〕https://zarara1111.blogspot.com/2024/04/blog-post_6.html

 ※上の引用記事には、前編があります。

 米津さんは別格だとしても、映画や漫画・アニメ、歌・音楽には、政治経済や産業技術、正統とされる学術文化の潮流とは別の、あるいは、それらの影響下にある社会を生きる人々のあり方が、おおいに反映されているものです。

  私はよく、YouTubeのフィードで出現した動画を話題として取り上げていますが、今回もそれです。「どうしても納得できない歌詞」というタイトルの【ガルちゃんまとめ】動画で、ひっかかったことがありました。

 コメントの多くは、いかにも昭和や平成の男尊女卑、主として男性側のご都合主義的な内容や、今とは違って一定の型にはまった恋愛感覚へのツッコミや不快感の表明が主という印象でした。

 しかし、そうした中でおもしろいと思ったのが、『アンパンマン』と『鬼滅の刃』の主題歌の歌詞に対しては「ツッコミや不快感」でなく、疑問が呈されながら明確な解答は出ず、コメントをした皆さんがなんとなくモヤモヤして終わっていることでした。

 まずは、『アンパンマン』です。

アンパンマンの「愛と勇気だけが友達さ」の部分なんですけど「だけが」っていうのが……友達いっぱいいるでしょアンパンマンって思ってしまう

 コメントを交わす皆さんの考察もなかなかですが、この主題歌(「アンパンマンのマーチ」)の歌詞は、原作者のやなせたかし先生の手によるものです。やなせたかし先生は、独自の哲学をもって子どもに向けた作品を書いていたことを聞いたことがあるので、きっと深い意味があるはずだと考えます。

 『鬼滅の刃』の方は、TVアニメ放映時に歌詞の変更もあったようです(詳しくは、ぜひ動画をご覧ください)。

家族とか殺されてるのに「ありがとう哀しみよ」って絶対ならなくない?ってずっとモヤってた!

 この歌詞以前に、『鬼滅の刃』のような暗くて重苦しいテーマの漫画が爆発的な人気になったということが、私としては当初かなりの驚きでした。……あっ、誤解のないように断ると、私は『鬼滅の刃』は漫画を全巻読みましたし、様々な点で近年の傑作の一つだという認識です。特に、前世・過去世の視点で作品全体をとらえた時には、多くの気づきや学びが含まれていると考えています(いずれ、本ブログでも、ストーリーやキャラクターを具体的に分析してみたいなどとも考えています)。

 話を歌詞に戻しますと、シンガーソングライターのLiSAさんが作詞されている「紅蓮華」という曲の一節が話題となっていました。確かに、TVアニメで放映するには規制のかかりそうな歌詞です。ただ、LiSAさんが意図しての歌詞なのかは否かは不明ですが、アンパンマン以上に違和感や抵抗感のある方は多いのではないでしょうか。

 前世・過去世があることを前提として、人間存在に対する視野を広げて一つ一つの出来事を理解していく場合には、三次元的な世界では「哀しみ」でしかないことが、別の意味合いを持って私たちに気づきと学びをもたらすことがあります。そうはいうものの、「哀しみ」に「哀しみ」以上の意味を、私たちはなかなか見出すことができません。

 作品の主人公である竈門炭治郎は、これまでの漫画の主人公とはまったくタイプが異なります。あらゆる点において、作品を読み進めていくに従って疑問が増すばかりでした。敵役であるはずの鬼たちにも、鬼となったそれぞれの救いがたい事情があり(鬼殺隊のメンバー以上に鬼が人間だった頃の身の上が語られているのも、これまでの少年漫画作品とは大きく異なっているかもしれません……)、炭次郎は彼らに対して、良いだとか悪いだとかいう判断を明確に下したりすることはありません。

 映画館まで足を運び、今でも心から離れない場面があります。遊郭編で登場した上弦の鬼は兄妹でした。鬼となった妹の禰豆子とともに彼らの最期を見届ける炭次郎は、自分たちが彼らであったかもしれない可能性をつぶやきます(その前に、兄の妓夫太郎を妹の堕姫が罵るその口を、炭次郎がそっと手でふさぐ場面で涙がこぼれました)。

 前世・過去世を前提として「私」という存在をとらえた際には、他者の人生が自分の人生であった(他者が自分である)可能性を、漫画の世界の表現によって、見事にこの作品は描いていると思いました。そうであるならば、「紅蓮華」の疑問に思われる歌詞も、違った意味が見えてくると思うのです。

 ただ、小学生の子どもの持つ私の友人は、『鬼滅の刃』の「遊郭編」というタイトルそれだけで不快感を示していました。多くの人々にとって、人間存在についての狭い視野から脱することの難しさは、作品を鑑賞する以前のところから潜んでいます。

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